やる気がほしいなら、
まずやり始めよう。
「テストが近いから勉強しないと。でもやる気が出ないからちょっと気分転換……」
一冊のマンガを手に取ったら止まらなくなって全巻読破。
「あ、もうこんな時間! 早く寝なきゃ!」
結局そのままベッドへ。
こんな経験、君にもあるんじゃないかな?
やる気って不思議だよね。
今、自分にやる気があるのかないのか。
あったとしてもどれくらいあるのか。
他人はもちろん、自分にだってよく分からない。
そのなんだかよく分からないものに僕らは振り回されているんだから。
実はやる気のメカニズムはかなりのところまで解明されている。
脳科学者の池谷裕二さんによると、人間の脳にはやる気を起こす物質があるんだって。
その「やる気物質」の名前はアセチルコリン。
これが脳の中で放出されると、僕らはやる気が出た状態になるそうだ。
じゃあ、この物質はどうやって作られるのか?
そのカギを握っているのが、脳の「側坐核(そくざかく)」という部分だ。
これは脳の左右に1つずつあって、大きさは1センチ弱。
脳をリンゴにたとえると側坐核はタネの部分にあたるイメージかな。
側坐核は小さいながらやる気物質であるアセチルコリンを脳内に送り出すという重要な働きをしている。
つまり側坐核が活発に活動してくれれば、僕らのやる気はどんどんわいてくるってことだ。
側坐核はまさに「やる気のタネ」といえる存在だね。
ただし「やる気のタネ」はなかなかのくせもので、実際に何かをやった刺激があって初めて動き出してくれる。
つまり、やる気は何かをすることでしか生まれないんだ。
始める前は誰だってやる気がない状態で当たり前。
それなのに「やる気が出ないから気分転換」なんて言っていたら、いつまでたってもやる気は生まれてこない。
やる気は自然とわき出るものじゃなくて、自分で生み出すものなんだ。
誰もが頭の中にもっている「やる気のタネ」を刺激してね。
最初は計算5問、漢字10問でもかまわない。
始めてしまえば「やる気のタネ」が動き出してくれる。
0から1までの距離は、1から100までの距離よりもずっと遠い。
やる気がほしかったら、とにかく1をやってみよう。
1が2になって10になって……
いつの間にか100やっている自分に気付くはずだよ。