「合格したくない」のといっしょ。
字は丁寧に書こう。
かつて神奈川県の公立入試で、ある問題が起きた。
入試当日、外見のチェックをしていることを受験生には知らせずに、身なりや態度が悪い22名を校長先生の指示で不合格にしたんだ。
僕はこう思う。
茶髪にピアス、ズボンを引きずってるような子は、それだけで不合格にされても仕方がないってね。
そもそも受験っていうのは、その学校に自分を選んでもらうためのものだ。
合格したかったら選んでもらえるような努力をしなければいけない。
そしてその努力には勉強だけじゃなくて、相手に受け入れてもらえるように身なりや態度に気を遣うこともふくまれるはずだ。
もちろん、この高校のやり方にもまずい点がある。
「受験生には知らせずに」というところだ。
募集のさいに、これらの内容をきちんと明らかにしておくべきだった。
この点において高校は非難されて当然だとも思っている。
――さて、陽光生には服装や態度で落とされる子はだれ一人いないだろう。
もともとそんな子の入塾は認めていないしね。
ただ、服装や態度は問題なくても他の点で心配な子がいる。
それは「字」だ。
模擬テストや宿題などで、とても読みにくい、きたない字を書いて平気な子がいる。
はっきり言うね。
「きたない字で答えを書く」のは「茶髪で受験に行く」のと同じ。
非常識であり、合格したいという気持ちを疑われて当然だよ。
入試の採点者は答案に書かれた文字だけを見て○と×をつける。
そこに書かれた文字が雑で読みにくいものだったらどうなると思う?
「この字はこう書きたかったんだろうな」なんて考えて○をくれることなんて、絶対にない。
読めない字、読みにくい字は即×だ。
「1と7」「0と6」「hとn」「わとれ」
いくら勉強しても、雑な字のせいで不合格になることは十分にあるんだよ。
さらにこわいのは、字のせいで落ちたことが自分では分からないってことだ。
高校入試、大学入試、入社試験……ずっと同じあやまちをくり返すことになってしまう。
「字を丁寧に書く」というのは、勉強するうえで絶対に守るべきことだ。
せっかく勉強しても、字で×をされているようじゃどうしようもないよ。
それに「字を丁寧に書く」なんてことすらできない子が「合格したい」と言っても説得力がまるでない。
また、しっかりとがんばれるとも思えない。
本気で合格したければ、字を丁寧に書くなんてことは絶対にできるはずだからね。
もちろん「入試のときだけ丁寧に」なんてできるもんじゃないよ。
練習でやってないことは本番でもできないんだ。
ふだんから気をつけて、字は丁寧に書いていこう。